(人間にとって幸せ(well-being)とはなんだろうか その1はこちらです。)

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前回の問題提起を受けて、今回は洋服を着たワンちゃんは幸せかという難問について、考えてみます。

私が幼かった頃、田舎の実家で買っていた雑種犬は、番犬としての役目を適切に果たしていませんでした。散歩になど連れて行ってもらえることはなかったので、ストレスが溜まって吠えるだけでした。

家族が来ても吠えました。そのため、飼い主である私の親にいつも怒られており、幸せそうではありませんでした。家族の食事の残飯がないときなど、餌を与えられないこともあり、相当不幸だったと思います。

小さな犬小屋(もちろん家の外に)はありましたが、夏は暑く冬は寒かったと思います。もちろん、洋服など着せてもらったことは一度もありませんでした。その点で衣食住が足りていませんでした。このように経験をもっている私にとって、“洋服を着たワンちゃんは幸せか”という疑問は考えてみる価値のあるテーマなのです。

都会の公園を飼い主と歩いているワンちゃんは幸せそうにもみえます。しかし、それは、洋服を着せてもらっているからでなく、単純に外に出ることができたからかもしれないと思いました。それに、犬は、嫌だからといってその洋服を自分で脱ぐことはできないことにも気づきました。なぜならば、彼らは一様に人間よりも手足が短いので、自分で服を上手に脱ぐことができないからです。

先日、六本木のミッドタウンに行ってきました。高級ブランド用品を売っているお店で、犬のカッパ(というかレインコート)がウィンドウの一番目につきやすいところに飾ってありました。私の住んでいる郊外の公園だけでなく、東京のど真ん中にあって、流行の最先端を行くミッドタウンでもワンちゃんが主人公ということに気づきました。

ここで私は、「洋服を着せられた犬は、飼い主の方が思うほど幸せではないのではないか」と思いました。その理由については、認知行動療法との関連も含めて次回のエッセーで説明したいと思います。

H.S.