何事も継続することは容易ではありません。「やればできる!」と自分を鼓舞して何かを始めても、結果として続かないことはよくあることです。続かない理由としてよく挙げられるのは、成果が実感できないということです。例えば、英会話。忙しいなか、自分なりに時間を捻出して、練習を継続しても、なかなか上達したという実感が得られないものの代表格ではないでしょうか。

このような時の対策としては、客観的指標を用いて、成果が出ているか出ていないかを検証することが1つの方法です。英会話の例でいえば、定期的に英会話のテストを受け、前回より少しでも得点が上がったことが確認できれば、何かしらの成果を実感でき、継続することへの動機づけになるはずです。

一方で、客観的指標を用いるなどの科学的手法とは対極の存在ともいえる「情熱」や「夢」が継続の原動力になることも多々あります。私の大好きな本である『古代への情熱(シュリーマン著,岩波文庫)』からは、そのことがリアルに伝わってきます。

主人公のシュリーマンは、幼い頃に「遺跡発掘の夢」を抱きますが、恵まれた環境になかったため、14歳で奉公に出て、遺跡発掘とは全く関係のない商売の世界に生き続けます。

ただし、「遺跡発掘の夢」をあきらめることはなく,劣悪な環境の中でも,長年にわたり猛烈な勉学を継続します。そして、商売の世界で成功し、財を成し、40歳を過ぎてから、遺跡の発掘を始めます。最後に夢が実現するかどうかは読んでのお楽しみといたしますが、私は、この本を読むとき、いつも「情熱」や「夢」がもたらす力の大きさに圧倒されます。

上述のとおり、認知行動療法で重視される科学性は、一見、「情熱」や「夢」と相容れないもののように見えるかもしれません。しかし、認知の要素と感情の要素を併せ持っているとも考えられる「情熱」や「夢」は、その2つの要素の相乗効果によって、物事を継続する上での、とてつもない原動力になりうると言えるのではないでしょうか。(S.M.)