自分が望むもの、相手が望むもの

突然ですが、皆さんはどのようなときに大切な人の「愛情」を感じますか?

Gary Chapman氏の「The Five Love Languages」によると、感情のコミュニケーションの好みには5つのタイプがあるようです。

まず1つめは「肯定的な言葉」を好むタイプ。「大好き」「いつもありがとう」などの「言葉」をもらうのが一番嬉しくて愛情を感じるという人は多いかもしれませんね。このタイプにとって褒め言葉はとても大切なものですが、一方で感情に任せた怒りの言葉や、冗談でも侮辱するような言葉は人一倍胸に突き刺さって生涯忘れられないかもしれません。

2つめのタイプは「スキンシップ」重視派です。ワクワク、不安、愛情、心配などを示すために「言葉」を使うのではなく、ハグしたり、背中を軽く叩いたり、手をつないだり、といったボディタッチを好みます。こういうタイプの人はお互いの物理的距離が近いことを重視するので、遠距離恋愛や、SNSでのお付き合いはつらいかもしれませんね。

3つめのタイプは、言葉やボディタッチはいらないけど自分にしっかり関心を向けて欲しい、充実した時間を共有したい、というタイプです。一緒にいるときや電話で話をしている時などはテレビを消す、別のことに気を取られない、話を真剣に聞く、上の空で返事をしない、などが重要なポイントになるでしょう。

4つめのタイプは、料理や掃除など家事や身の回りのことを助けてもらうことで愛情を感じる「サービス」重視タイプです。このタイプの相手には、フットワークの軽い人、人の世話を焼くのが好きな人、面倒見が良い人が合うかもしれませんね。イクメンパパなんて最高ですね。

最後5つめは、心のこもった贈り物を好むタイプです。高価かどうかは関係なく、その贈り物に心がこもっていることが大切です。贈り物は愛情のシンボルと見なされるのです。このタイプの人がパートナーの場合、記念日や誕生日を忘れることや、高価だけど「心をこめて選んだ」感じのしないプレゼントを贈るのはとても危険ですね。

ここで紹介した5つのタイプに限らず、人の好み、言動の傾向、考え方のクセなどは本当に人それぞれですね。「こうすれば相手は喜ぶはず」と思い込んでいる行為は、必ずしもそうとは限りません。また、自分が相手に一体何を望んでいるのか、どうしてほしいのか、自分でよくわからないこともあるのではないでしょうか。

認知行動療法では、自分の考え方のクセ、行動パターン、トラブルの悪循環などに注目することで自己理解を促します。また身近な人との間で起きるコミュニケーショントラブルを振り返ってみることは、相手についての理解も深めます。認知行動療法の第三世代であるアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、自分の生き方の指針となる「価値観」を明確にしていくことが重視されます。

自分の価値観、相手に望むもの、相手の価値観、相手が自分に望むこと。どれも大切にしながら生きていけたら素敵ですね。

(M.N)