8月は明るく開放的な夏のイメージとは裏腹に「長崎と広島に原爆が投下された日」、「第二次世界大戦が終戦した日」、「日航機墜落事故が起きた日」と多くの尊い命が奪われた出来事がありました。亡くなった方々や大切な人を失った方々を偲ぶ時でもあると思います。

宮城県名取市の閖上地区に、東日本大震災後クリニックを構える心療内科医の桑山紀彦医師が『「あの日」語ることで次へ』(2016年3月8日朝日新聞)と題する新聞記事で、「人間は忘れる生き物というけれど、あれほどの体験を忘れられるはずがない。悲しみや悔いを封じたままでは、心の傷は癒されません。」と語っています。

続いて、「重要なのは、記憶に支配されるのではなく、記憶を支配できるようになることです。そのために必要なのは語ること。語って現実に向き合うこと。」と伝えています。そして、桑山医師が取り組んできた心理社会的ケアというアプローチについて簡単な説明がありました。

記事の最後は、「ただ、日本では、語ることの価値が十分に認められていません。いまだに「そっとしておこう」という空気さえある。でも、切り立った記憶をそのまま放っておいたら、刃のように心を傷つけ続けます。語ることで記憶を紡ぎ、記憶を整える。それができれば、次の一歩を踏み出せるはずです。」と書いてあります。

戦争、テロリズム、自然災害、事故、事件…。毎日のように世界各国で起きています。そして、日本は災害大国です。また、安全と言われているはずなのに痛ましい事件が多発しています。

もし、そのような出来事を経験したら、今はまだ言葉にならない、語りたくないという時に無理に語る必要はないでしょう。でも、語ろう、語りたい、語ってみようかな、そう思う「時」が来たら、「あの日」から時間が動き始めるはずです。

(M.M)