強迫性障害
強迫性障害では、強迫観念(しつこく、繰り返し生じてくる考えや気持ち)と強迫行為(清潔さを過度に保とうとしたり、確認行為や儀式的な行為)が続くために、強い不安や苦痛を感じます。
また、そのことにとらわれて多くの時間を費やすために、日常生活や社会生活に支障をきたします。
認知行動療法では、曝露反応妨害法(ERP)という技法を用いて、強迫観念と強迫行為両方に働きかける介入があります。以下がプログラムの流れです。
強迫性障害についての心理教育
強迫性障害とは何か、強迫観念と強迫行為とは何か、どのように治療していくのかについて説明を行い、強迫性障害についての理解を深めます。
暴露反応妨害法(ERP)の実施
曝露反応妨害法(ばくろはんのうぼうがいほう)とは、強迫性障害に有効な認知行動療法の技法の一つです。強迫性障害では、強い不安を強迫行為によって一時的に沈静化しますが、その不安は解消されたわけではないため,何かのきっかけで再び強い不安が生じ、また強迫行為をしてしまうという悪循環が成り立っています。
そのパターンを変えるのが曝露反応妨害法です。 「曝露法」は、強い不安が生じてもすぐにそれを鎮静化しようとせずに、不安に自分自身をさらす(曝す)ことです。心理学では、不安に自分自身をさらしていると、時間の経過とともに不安が下がっていくことが確認されています。人間の「慣れ」という性質をうまく使った方法です。
一方、「反応妨害法」は、一時的に不安を鎮静化するために行ってきた強迫行為をがまんして行わないようにする方法です。強迫性障害への介入では、この2つを組み合わせた「曝露反応妨害法」を実施し、強迫行為をしなくても不安が下がっていくことを繰り返し体験してもらいます。こうすることによって、強迫行為は徐々に不要となり、強迫観念も自然と解消されていきます。
不安階層表の作成と曝露反応妨害法の実施
不安階層表とは、不安になる状況を不安の強さによって、下記のようにレベル分けしたものです(強迫行為が「確認」の場合の一例)。
この表をもとに、不安の強さの低い状況から曝露反応妨害法を進めていきます。下記の例でいえば,不安の強さが最も低い3の状況に注目し,「定期券がかばんに入っていることを1回確認した後は,『入っていないかもしれない』と不安になっても,再び確認することはせずに駅に向かうこと」にまず取り組みます。
臨床心理士は、不安階層表を一緒に作成し、実際に日常場面で曝露反応妨害法を試した結果について一緒に検討しながら、少しずつ難しい課題に取り組めるようサポートします。
問題を抱えておられるご本人が来談できない場合でも、親御様(
チェックリスト
上記のような症状や問題がみられる場合には、下記のチェックリストをダウンロードして、自分でチェックをして、その結果をもってご来談ください。