ラッキーアイテムと安全確保行動

みなさんは、自分にとっての「ラッキーアイテム」や「お守り」あるいは「勝負服」などを持っていますか?ラッキーアイテムは、女性ならアクセサリーが多いでしょうか?これを身につけていると、良いことが起きると思えるような、安心できるアイテムです。

このラッキーアイテムやお守りアイテム、気分を上げたり気持ちを落ちつかせてくれたりと頼りになる存在ですが、あまり頼りすぎてしまうと問題になってきます。

たとえば、そのアイテムを持っていないと失敗してしまう気がして、大事なイベント時は常に身につけなければ安心できない、または、物事がうまくいっているのは全てそのアイテムのおかげだと思うようになったらどうでしょう。いつまでたっても自分自身に自信が持てないのではないでしょうか。

ラッキーアイテムを常に持ち歩き、持っていない時は危険や失敗を常に心配するようになったとしたら?そのアイテムを手放さない限り、それが本当に自分を守ってくれているのかわかりませんね。また、そのアイテムを持っているにもかかわらず失敗してしまったらどうなるのでしょう。

ある芸能人は、番組で自分の発言が“すべって”しまったときは、その日に着ていた「勝負服」をすべて捨ててしまうそうです。ゲン担ぎもここまでくるとお金がかかって大変ですね。また、ある人は大事な交渉時には必ずラッキーアイテムの指輪をしていたのですが、ある時その指輪を忘れてきてしまい、パニックに陥ってしまいました。

ラッキーアイテムやお守りアイテムを頼る気持ちが行き過ぎて生活に支障が出てしまうレベルになると、それは認知行動療法では「安全確保行動」の一種とみなされます。

「安全確保行動」とは、安全を保つ意図を持って行われる行動のことですが、ときには思いがけず不安を長引かせる結果になることもあります。たとえば、赤面恐怖の人が「マスクをしていれば恥ずかしくない」と思って常にマスクをしている場合、いつまでも症状は治らないし、たとえ赤面しなくても「赤面しないのはマスクをしているからだ」という考えからは抜けられません。

こういった問題に対して認知行動療法では、エクスポージャー行いつつ安全確保行動をストップすることを目指した介入を行ったりします。

安全確保行動によって自分自身が苦しくなるのは問題ですが、お気に入りの物や記念の品などは、いつも身につけておきたいと思うのも自然ですよね。結局は、そのアイテムに依存しすぎているかどうか、頼る気持ちの強さが問題なのでしょう。

あなたのラッキーアイテムやジンクスや勝負服などが、なんとなく心の“負担”になってきたら、今いちど、そのアイテムへの依存度をチェックして、付き合い方を見直してみるのも良いかもしれませんね。

(M.N)