心のガソリンを貯める方法 -- 行動活性化
気分がうつうつとして元気が出ない状態がしばらく続いているとき、みなさんはどうやって元気を回復させていらっしゃいますか。お布団の中でゴロゴロしたり、漫然とテレビやスマホを見たりしてなんとなくだらだらと過ごし、不足気味のエネルギーを補うという方は少なくないのではないかと思います。ただ、こうしたやり方で1日をやり過ごすと、主体性のない、締まりのない過ごし方をしてしまったとどこか後味の悪い気分になることもありますね。
今日は、上述したやり方よりもいくらか能動的な方法をご紹介します。停滞した日々に活力を与えてくれる、行動活性化と呼ばれる方法です。行動活性化は、元々うつ病に対する支援法として認知行動療法で活用されてきました。しかし、いわゆるうつ病の診断は出ていなくとも、不登校や引きこもりといった状態にある人や、広く一般の人たちでも元気の出ない状態が続いている場合に活用することができます。具体的には、その活動に取り組むと生き生きとした感覚が多少なり得られる活動を、生活の中に無理なく段階的に増やして行く方法のことを指します。例えば、料理、スポーツ、ボランティア、芸術活動などが該当します。
興味関心や器用さに応じて向き不向きがありますが、成果が形としてわかりやすく示される上に、生活の役に立ち、しかも手軽に着手することができる料理は、多くの人にとって、行動を活性化させてくれる手段になるようです。また地域の活動などに参加してボランティアをすることも、人の役に立つという分かりやすい成果があるため、どんよりとした気分に爽快な感情をもたらしてくれる良い手段になります。
あるいは身体のケアを提供する場に関与する方法もお勧めです。例えば歯医者さんや美容院といったところに行くことです。これは他者からケアされるという心地よい経験ができる上、自分の足で外出して他者とやり取りするという能動的な行動の練習にもなりますし、口腔内が健康になったり髪型が素敵になったりといった本来の目的に沿った効果も得られます。
気分がパッとせず、だらだらと無為に1日をで過ごしてしまう日々が増えてきた、とはいえ心療内科や精神科にかかるほど心身がままならないわけでもない、そんな時には、ぜひ、行動活性化という単語を思い出してください。ポイントは、難しすぎない活動を通じて人とつながり、人の役に立ったり誰かに大事にされることで自分の価値を感じて、心のガソリンを貯める、です。
(A.K)