ぐれることも認知行動療法のひとつ?
皆さんは、ストレスが溜まった時につい口にしたり、頭をよぎったりする言葉はありますか?
私が社会人になりたての頃、仕事でストレスが溜まると「ぐれてやる~」という言葉を頭の中で叫んでいました(笑)。そして、実際にぐれた自分を想像するのです。
当時は「ピアスをあけてやる~」とか、「髪を真っ赤に染めてやる~」とか、「タトゥーを入れてやる~」なんて思っていました。
思うだけでなく、行動にも移していました。
ピアスは実際にあけました。でも、それで満足してしまって、実際にピアスを付けることはほとんどありませんでした。気づいたらせっかくあけた穴はふさがっていました。
髪の毛は、美容師さんに相談したところ、赤く染めるには、まずは脱色してから色を入れるんですよと言われ、なんとなくめんどくさく思ってやめることにしました。
誰に相談しても、絶対反対されると思ったタトゥーですが、知人から似合っていればいいんじゃないと賛成されてしまい、なんだか拍子抜けして、タトゥー熱も冷めました。
自分で思い返しても中途半端なぐれぶりですが、こんな風に、想像したり、行動したりすることを、認知行動療法では、注意転換法と言います。
注意転換法とは、落ち込んだり、気にかかることがあったり、腹が立ったりしたときに、一時的に気持ちをそらすことを言います。問題解決に直結はしないものの、気持ちを切り替えたり、不快な気分を和らげたりすることができます。
実際、私の場合、ぐれるためにあれこれやっている自分が笑えてきて、気持ちが軽くなったのを覚えています。
注意転換法には、他にも、本を読む、身体を動かす、音楽を聞く、友達と話す、深呼吸する、心地のよいイメージを思い浮かべるなど様々なものがあります。是非、自分のお気に入りの注意転換法を見つけてください。また、自分ひとりでは、なかなか思いつかないというときは、どうぞ本センターにお気軽にご相談ください。(Y.T.)
(参考)大野裕(2010)認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルガイド 星和書店