“ほどほど”が実は一番難しい…
SNSがこれだけ発達した今、私たちは日々たくさんの情報に触れています。検索すれば何らかの「答え」となる情報を受け取ることも、昔に比べると簡単にできます。それはそれでもちろん便利であり、助けられることもありますが、その反面、たくさんの情報の中で混乱していることも否めません。
そんな情報社会の反動からでしょうか、疲れからでしょうか、世の中の動きをみていると、昨今の「断捨離」ブームに始まり「ミニマリスト」、またファッションで言えば「ノームコア」という概念など、情報や物、装飾を極力減らし、必要最低限な状態で、シンプルに暮らそう、という動きも積極的に出てきています。
ただ、これらの動きの中には、行き過ぎてしまい、極端になっている例も見られ、何ごとも“ほどほど”というのが実は一番難しいな…と考えさせられます。
変化の兆しが見え始めたり、手応えが得られた瞬間に、期待が高まり「もっと、もっと」という気持ちを加速させてしまう、手段であったものがいつのまにか目的に変わってしまう例です。
行き過ぎたり、極端になりすぎると、そのことにより注目しすぎてしまい、がんじがらめになり「こうしなきゃ」「こうするべき」と知らず知らずのうちに規定してしまい、結果、疲弊してしまうこともあるのではないでしょうか。
苦しみや問題を解決しよう、取り組もうとすればするほど焦ったり、結果を急ぐあまり、さらに苦しくなり行き詰まってしまう状態、特にご家族のなかには、ご本人の苦しみを早く解消し解決してあげたい、との想いが(当然ですが)高く、変化を急ぎすぎるあまり、ご本人にプレッシャーをかけてしまい、ご本人の不安をかえって高めてしまうことも多々あります。
でもこれらは、よくよく振り返ってみると、ご家族の不安や焦り、期待が、ご本人へ伝わってしまった結果、ご本人とご家族全体で苦しくなっている状態なのかもしれません。
周囲の焦りや不安が少しずつ収まることで、ご本人が、自分の問題を相談したい、解決したい、とひょっこり姿を見せることもあったり、ご本人の行動が少しずつ変化していくこともあります。家族とは不思議なもので、誰かが変化すると誰かもあわせて変化する(いい意味でも悪い意味でもですが…)集合体です。
“ほどほど”でまずは始めてみる、ご本人のペースを見守る、これがご家族には一番難しい課題であったりもします。 当センターでは、ご家族からのご相談も承っています。ご家族全体が苦しく行き詰まった状態、ご家族の不安や焦りも溶きほぐせるよう、一緒に考えていければと思います。
(H.K.)