身体を緩めること
路地や花屋の店先に色とりどりの紫陽花を楽しめる季節になりましたね。水気を含んだような柔らかな花弁の質感にも気分が和らぎます。
さて先日、通勤の途中、ひどく力んだ必死な状態で黙々と歩いている自分に気づきました。肩、首筋、背中、頬、奥歯、心臓や胃などの内臓まで、とくに上半身にギュッと力を込めて身体を固めるようにしていました。「うわ、何だろう・・・これ」と驚き、歩行の速度を落としてまずはひとつ深く息を吸い込みました。次にゆっくりと鼻から息を吐き出し、それを数回繰り返しました。
すると、かすかにせり上がりすくめられていた肩がすとんと落ちるのを感じました。ぱんぱんに張っていた首筋がいくらか緩んだような気がしました。収縮していた内臓が(そんなはずはないのですが)呼吸でマッサージされたようでした。
そこで初めて「ああ、私は緊張してるんだ。不安なんだな」と気づきました。その日は午後から会議の場で少し気の張る発表をしなくてならなかったのです。緊張しているつもりはありませんでしたし、不安を感じているとも思っていませんでした。「会議での報告くらいなんてことないよ」というつもりでいたので、自分の緊張や不安を自覚して驚いてしまいました。
私たちは次々に新しい環境、仕事、人間関係にさらされて生活しています。日々身体の芯まで、身体の深いところまで緊張して対処することを求められているのでしょう。だからこそ、張り詰めている身体を意識的にほぐすことが必要なのだと思います。身体を緩めたときに、ふと気づける思考や感情がありますし、身体を緩めることができて、ようやく自分との対話が始まることもあります。
私が身体の緊張に気づいてから行ったのは簡単な呼吸法ですが、そのほか、リラクセーション法も、身体を緩めるため、身体をほぐすために、とても安全かつ効果のある方法です。一度身につけてしまえば、日常や人生の様々な場面で一生役立てることができます。
ただし・・・うまく使えるようになるには、少しだけ練習を要します。小まめに繰り返し実践し続けることが大切です。「やり方がわからない」「取り組んでもすぐに断念してしまう」という方には、心理士が伴走してお手伝いします。関心がおありの方はぜひ試してみてください。
(M.E)