あいつのせいで渋谷に行けない…
いきなりですが…わたしがこの世で一番イヤなものといえば……ネズミです。イヤという表現では追いつかないくらい。くもだってゴキブリだって平気なのに…なぜかあいつだけはほんとうにほんとうに恐ろしい存在なのです。
人間よりはるかに小さいのに、食べられるとか、攻撃されるわけでもないと分かっているのに、ネズミとここに書くことにも抵抗があるくらい、頭に浮かべるだけでも気持ち悪くなってしまいます。そのくらいわたしのネズミ嫌い、ネズミ恐怖は、おそらく誰にも負けないくらい筋金入りです。(でも某夢の国は大好きですよ)
周りは「かわいいじゃん」「ミッキーマウスと同じでしょ」という反応で、なかなかあいつに対する恐怖を共有してもらえないのが悲しいところです。そして不思議なことに、真っ先にあいつに気付くのは、わたし。一緒にいる人たちは「えっ?いた?」「あっ、そう、気付かなかったけど」という反応です。
遡るとこの1年の間に、あるときは渋谷で、また乗り換え時の◯駅の構内で、さらに訪れた飲食店であのグレーのあいつを目撃して「きゃー!!!」と叫び、卒倒しそうになったことが(実に3回も!)ありました。でも厳密に言うと実際にネズミが出現したのは2回で(多分…)、◯駅でわたしが「ネズミだー!きゃーっ!!」と反応したのは、誰かが落としたグレーの手袋だったというオチです。
ネズミに遭遇したくない、目撃したらどうしよう、という不安が恐怖を生み、奴が出没しそうな所についつい注目し、今回、色が同じというだけで、即「ネズミ!きゃーっっっっっっ!!」と反応していたのです。
かつて駅構内の隅っこをネズミが走り去るのを目撃したことがありました。幸い、その駅は通勤ルートではなかったのでよかったのですが、仮に毎日利用する駅であったなら、ネズミに遭遇することを避けるあまり、その駅の利用を避け、最悪の場合、電車通勤は出来なくなっていたかもしれません。
「ここに奴がいたらどうしよう」「こういう場所ならネズミがいてもおかしくないはず」との不安から恐怖が大きくなり、よりその不安に自ら注目してしまっているのです。不安は回避しようとすればするほど大きくなり、避けようとする回避行動がかえってその不安や恐怖を増大させてしまいます。
このような不安や恐怖が高まると、行動そのものが制限されてしまう場合があります。わたしの例で言えば、ネズミを目撃した渋谷にはいまだ行けない…というものです。好きなお店がたくさんある渋谷に行けないのは目下、死活問題ではあります。
認知行動療法では、この不安や恐怖に対して、少しずつ(←ここがミソ)段階的に慣れていくエクスポージャー「暴露反応法」というものがあります。
ジェットコースターに乗ったときを想像してみて下さい。頂点に上がるまでは恐怖でドキドキしますよね、でも頂点を制覇するとドキドキやそれまで感じていた不安は減少していくのが実感できると思います。
このように不安が高まるのは一時的なもので、ピークを過ぎると次第にその不安は減少していきます。不安が下がるまでそこに留まる(暴露する)ことで、その不安に次第に慣れていく、これがエクスポージャー「暴露反応法」の原理です。反対に、不安が下がらないまま私のように回避行動を続けていくと、ますます不安は高まってしまいます。
先日、カピパラがネズミの仲間だと知りました(いまさらですみません…)カピパラを見るのは全然平気です、むしろかわいいです。さらに友人がハムスターを飼い始めたということで写メが送られてきました。
目に入った瞬間はドキドキしましたが、だんだん慣れてきて「ハム蔵かわいいじゃん」と思っている自分がいました。なので、近日中にハム蔵に会いにいき少しずつ少しずつネズミ恐怖を克服しようと思います。ネズミごときで渋谷を自由に闊歩できないのはとっても悔しいので!
(あっ、最初はここにネズミと書くことにも抵抗があったはずなのに、すでにネズミと書くことに抵抗がなくなっています笑。)
(K.K.)