ライフイベントの受け止め方

春は変化の多い季節ですね。卒業、リタイア、入学、就職、異動、転居などなど。人の一生涯で生じうるこういった重要な出来事をライフイベントと言います。

ライフイベントは、新しい門出や次のステップへの移行など喜ばしいことでもありますが、他方、生活環境が一変し順応に時間や労力を要することでもあります。また自然災害や病気の罹患、大事な人との別離など、多くの人々がストレスを感じる出来事である場合もあります。

ホームズとレイによって作成された「社会再適応評価尺度」(Homes & Rahe,1967)をご存知でしょうか。これは人生に生じた変化を乗り越え、再び適応的な状態になるためには相応の労力が必要であると考えています。そして再び適応的な状態になるまでの労力の大きさによってライフイベントの重大性を尺度で評価しています。

各出来事を経て再び新しい環境に順応するまで、どのくらい時間がかかるか、どの程度困難があるかを測定し順位付けをしています。

大切な人との死別や離婚、けがや病気などは、当然のことながら上位にあります。興味深いことに、結婚、妊娠、家族が増えることなど、一見望ましい変化に見えることも衝撃度は高く、馴れるまでには時間と身体的精神的なエネルギーを要するものだと認識されています。 

また、こういったライフイベントが複数重なったり、続いたりしたときに、人は自分をコントロールすることが難しくなるとも言われます。

 望むと望まないとにかかわらず日常の生活が遷り変わるとき、事態をどう受けとめどう向き合うか、個人のストレスコーピングの問題だけではなく、経済状況や社会情勢、運不運など自分では操作できない要素が絡んでくることもあります。人生のターニンポイントを乗り越えたい、この経験を活かしていきたいと願うのに、思うようにいかず立ちどまってしまってしまうこともあります。

レジリエンスという概念があります。精神的、心理的回復力、立ち直る力、復活力などと訳されます。ストレスに立ち向かい跳ね返すことを目指すのではなく、柔軟に立て直しをはかる力です。ライフイベントの渦中で戸惑っている方のレジリエンスを促せるようなサポートができればと思っています。

(M.E.)