心の問題は私たちの日常にとって極めて身近な問題であるため、それを学問として扱っている心理学は研究者に限らず一般の人たちにとっても関心の深い学問領域となっています。実際書店に行けば、一般の人が読むことを想定した心理学に関する書籍が所狭しと並んでいます。やる気を引き出すといった具合に自分自身の仕事のパフォーマンス向上を目指したもの、恋愛テクニックや部下への接し方など対人関係に関するもの、発達障害や精神疾患、家族のトラブルなどの心理的問題の理解と解決策を示したものなど、ジャンルは様々です。

当センターにお越しくださるクライエント様においても、ご自身やご家族が抱えておいでの心理的な問題に関する書籍を読んだ上で初回の面接に臨まれる方が少なくありません。また、面接の中でご自身やご家族の問題を理解するためにクライエント様に関連した問題を解説している書籍をご紹介したり、ご自身の問題を解決するための手段の1つとしてワークブック形式の書籍に取り組むことを宿題としてご提案したりすることもしばしばあります。

今回は、面接の中でご紹介してみて、クライエント様からの高評価を得ることが多い心理学的問題の解決に役立つ書籍の一部をご紹介したいと思います。

<不安やうつ的な気分を低減させたい方・マインドフルネスに関心のある方>

 不安な気持ちになったり、鬱々として気分が沈んだりすることは誰しも経験したことがあるでしょう。そうした状況から抜け出したり、あるいはそうした状況に陥りにくくなったりするためには、心の筋トレが必要となります。以下の2冊は「心の筋トレの手引き書」として使いやすい内容となっています。

・熊野宏昭・富田望・樋沼友子(2016)実践! マインドフルネス
―今この瞬間に気づき青空を感じるレッスン サンガ

→不安や抑うつを低減させるのに有効なマインドフルネス瞑想の方法を丁寧にわかりやすく説明しています。付属のC Dには、注意訓練と呼ばれるエクササイズの音源が録音されています。これは、心配で心がいっぱいになってしまう人が、そこから抜け出す上で有効な訓練です。

・熊野宏昭・伊藤絵美・N H Kスペシャル取材班(2017)「キラーストレス」から心と体を守る! マインドフルネス&コーピング実践CDブック 主婦と生活社

→先に紹介した書籍の第二弾と言って良い内容です。付属のC Dには、先に紹介した書籍で紹介されているマインドフルネス瞑想の音源が入っています。初めてマインドフルネス瞑想に挑戦する方や、一人で頭の中だけでやると瞑想がうまくいかないという方にとって使い勝手の良いC Dです。また、ストレスへの付き合い方についての解説とワークも大変充実しています。

<我が子への接し方のヒントとして>

 本センターでは子育て中の保護者の方の相談も承っています。お子様の言動にイライラムカムカしやすく、機嫌よく関わることに課題を感じていらっしゃるケース、不登校状態にあるお子さんへの対応を検討するケース、自閉症スペクトラムなどいわゆる発達障害(傾向含む)のお子様へのサポートの仕方を目的としているケースなどが代表的です。以下に紹介するのは、これらの問題の種類やその深刻度に関わらず、何らかの悪循環に陥っているお子様に対する視点や接し方に関するヒントが満載の書籍です。

・奥田 健次(2014) 世界に1つだけの子育ての教科書
―子育ての失敗を100%取り戻す方法 ダイヤモンド社

→行動療法の専門家である奥田先生が書かれた子供への接し方に関する本です。子どもがぐずぐずしたりいじけたりするといった内向きな振る舞いから、暴力・暴言・物壊しと言った外向きな行動への対処まで、様々なバリエーションの困った子どもの振る舞いに関する接し方の原則と具体例が示されています。対話形式で書かれており、スルスルと読み進められます。

・奥田健次・小林重雄 (2009)自閉症児のための明るい療育相談室
― 親と教師のための楽しいABA講座 学苑社

→上述の奥田先生が共著となっている書籍です。先の書籍でも十分子どもへの接し方の原理原則を学ぶことはできますが、発達障害に特化した本書は、そのエッセンスがより濃縮されている印象を受けます。

・黒沢幸子(2002)指導援助に役立つスクールカウンセリング・ワークブック
金子書房

→タイトルに「スクールカウンセリング」と書かれてはいますが、本書の内容は子どもに関わるすべての大人にとって役に立つものと思われます。ブリーフセラピーと呼ばれるカウンセリングの技法の観点から、効果的な子供への働きかけ方、視点を解説しています。事例はすべて学校を想定した内容となっていますが、ご自身がお困りになっている場面に置き換えて読むことで、目の前の困りごとの解決策が見えてくると思われます。

いかがでしたでしょうか。今回は、ストレス対処やマインドフルネスといった広く多くの方に共通する問題に関する書籍と、子育て中の保護者の方に特化した書籍をご紹介しました。

カウンセリングに通うとなると費用も時間もかかります。まずはこうした良書を通じて、ご自身の悩みを解消することを試みるのも1つの方法です。それでも進展が芳しくないと言った場合は、ぜひ当センターのご利用を検討いただければ幸いです。(A.K)