認知行動療法における“認知”は、その人の“考え方”を意味します。認知行動療法では、この“考え方”の偏りが問題の要因になっているとみなします。「自分はダメな人間だ」という考え方をしていると、ダメな人間としての行動をしてしまうというわけです。したがって、考え方を変えて問題行動を改善することが目的となります。

しかし、これは“言うは易く行うは難し”なのです。なぜならば、考え方も行動も、既に習慣化し、パターン化しており、その偏りに気づくことさえ難しい状態になっているからです。さらに、その偏りに気づいたとして、その考え方や行動の仕方に馴染んでしまっているので、それを変えることには“抵抗”が生じます。

そこで必要となるのが、この抵抗を越えていくために来談者(クライエント)と協力する心理職(セラピスト)の役割です。心理職は、来談者と協力して考え方や行動の偏りのパターンを見つけ出し、変化に向けての目標を定めます。そして、急がずに一歩一歩、つまりスモールステップで変化に向けて挑戦することを、来談者と一緒に進めます。このような共同作業は、お遍路さんがいつも弘法大師と一緒に巡礼しているという意味で用いられる“同行二人(どうぎょうににん)”に似ています。

しかし、ここでも“抵抗”が生じることがあります。その抵抗は、時に担当の心理職との相性が悪いからセラピストを替えてほしいという要望となって現れることもあります。そのような場合には、来談者と心理職が、そのことをテーマとしてじっくりと話し合うことが重要となります。話し合いの結果として継続することもあります。逆に、別の心理職と交替するのがよいとの判断になることもあります。要は、問題解決に向けての大きな山を超えるためにお互いが納得して“同行二人”になることです。                                     (H.S)